合理的

貞夫は非常に合理的な性格の人間だった。

だから幽霊や宇宙人などももちろん信じていなかった。

「なぜ信じないんだい?」と友人に聞かれると必ずこう答える「見たことないからね。」。

ある日そんな貞夫の前に妖精が現れた。

「こんにちわ貞夫さん。神様に言われてあなたの願いを1つだけ叶えにきました。」

妖精といっても少女が夢見るような小奇麗な女性ではなく、コジキのような男の妖精だった。

貞夫はいきなり妖精が目の前に現れて「神様」だの「願いを叶える」だの非現実的な事を言われたというわけだ。

貞夫のような「合理的」な人間が周りにいるなら想像してほしい。

もし目の前に妖精が現れたとして「信じる」だろうか?

とりあえず、貞夫の反応はこうだった。

「しまった。なんということだ、ついにこの僕の脳に異常が発見されてしまったのだ!」

実に合理的な考え方である。

しかし、目の前の妖精はこういう。

「いえ、あなたの脳はいたって正常です。」

だが、合理的な貞夫には逆効果。

「あぁぁあぁ・・・・神様、仏様、私の願いをお聞き下さい・・・。」

そこで待ってましたと妖精。

「はいはい、そのために神様に使わされて来たのですよ。なんなりとお申し付け下さい。」

貞夫はまったく聞いていない。

「神様、仏様!この忌まわしい妖精を私の目の前から消して下さい・・・。私を元に戻してください・・・。」

貞夫は今にも泣きそうな表情である。

そして、妖精。

「はいはい、どんな願いでも叶えますとも。」

「神様・・・仏様・・・・。」

「じゃあ、いきますよ、3・2・1・ホイ!」

そう言うと妖精は貞夫の前からパっと消えた。

「おお、消えた!やっぱり僕はしばらく幻覚を見ていただけなんだな。脳に異常がなくて本当によかった。」

そういって心から「神様」に感謝すると、そのまま会社へ出かけて行った。



そして貞夫は、友人に聞かれるともちろんこう答える。

「見たことないからね。」

実に合理的なこの男は今日も平和に暮らす。









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