あるバイオリン弾きの話 |
〜ある研究所、ある博士、ある旧型ロボット、ある声〜
聞きなれぬ声。
久しぶりの光。
君はそこで目を開く。
老人が話しかけてくる。
老人「気分はどうだい?」
君はまだ答えられない。
老人「私はこの小さな研究所で・・・・研究所と呼べるかどうかはわからんがね・・・・」
と、言って老人は苦笑する。
そしてまた話始める。
老人「この研究所で古代ロボットについて研究をしておる者だよ。」
どうやらこの老人は「博士」というヤツのようだ。
博士「君、名前はあるのかね?」
君はもう答えられるようになってる。
ラク「TYPE-RACK ラクガタ(楽型)と呼ばれてました。」
博士「おお・・・、喋れるのかね?ラクガタか・・・ラクでいいかね?」
ラク「はい。」
そろそろ動けるだろ?
立ってみてごらんよ。
スッ
博士「おお・・・・、とても旧型とは思えん動きだ・・・。」
そして君はやっと大切なことを思い出す。
ラク「あの・・・、ボクのバイオリン知りませんか?」
博士「バイオリン・・・?そんなものはどこにもなかったよ。バイオリンがどうかしたのかい?」
君はまた気づく、
ラク「・・・・自分でもなぜ必要なのかわかりません・・・。」
博士「そうか、ラクは長い眠りについていたからね。忘れておるんだろう。だが、そのうち思い出せるさ。」
君が哀しそうな顔をして、博士も思い出す。
博士「あ、そうじゃそうじゃ。私が昔弾いてたやつがあった。それをあげよう。」
ラク「あ・・あの・・・・・」
博士「なんじゃ?」
ラク「あ、いえなんでもありません。」
博士「?」
君は自分のバイオリンじゃなきゃダメなのを言いかけてやめる。
〜数分後〜
博士は君の演奏を聞いて感動している。
早くして死んだ奥さんを思い出したようだ。
博士「ラク、君の弾くバイオリンの音色はとても不思議だ。つい一番幸せだった時のことを思い出してしまうよ。」
その夜、君は研究所を抜け出す。
そして、研究所を後にこんな言葉を漏らす。
ラク「博士、ごめんなさい。でもボクはどうしても自分のバイオリンを弾かなきゃ。」
そして君はボクに話しかける。
ラク「ところでさっきから話してるけどキミは誰なの?どこにいるの?」
ボクは答える。
ボク「ボクはキミさ。」
ラク「?」
ボク「もう一人の自分というヤツ。」
君は納得はする。
ラク「バイオリン・・・探さなくちゃ。」
ボク「なぜ、そこまでして固執するんだい?」
ラク「わからないけど、重要な気がするんだ。」
ボク「ボクはバイオリンなんて忘れて気ままなバイオリン弾きになるといいと思うけどな。」
君はもちろんこういう。
「そうはいかないよ。」
そして君はバイオリンを探す旅に出る。
〜5年が過ぎる〜
青い月の下、バイオリンの綺麗な音色が響いている。
そして、君はそこに横たわる。
ボク「もうエネルギーが底をつくころだよ。」
ラク「・・・・バイオリン、探さなきゃ・・・・。」
ボク「・・・・・・・。」
ボクは隠し続けていた事をラクに打ち明けた。
ラク「そうか、ありがとう。」
君は安堵の笑みを浮かべて眠りにつく。
もう起きる事はないだろう。
そしてボクもそろそろ終わりのようだ。
〜数分後〜
ラク「やぁ、待ってたよ。来ると思ってここで待ってたんだ。」
数分なのに、ものすごく久しぶりにあった気がする。
ラク「弾いていいかい?」
ボクはラクに身を任せる。
この白い世界全体に今までで一番綺麗な音色が響き渡った。
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