幽霊

俺はね、半年前事故にあったんだ。

そして、そのとき目を傷つけてしまったらしくてね・・・。

失明は逃れたものの、徐々に徐々に俺の視力は下がっていったんだ・・・。

そして、もう周りのものがすべてボヤけてみえるようになったころの話さ。

俺はある発見をしたんだ。

俺が漠然とした不安を抱えたまま部屋のベッドの上に座っているとね、部屋の隅に黒いもやもやが見えたんだ。

なんだったと思う?

聞いたらきっと、バカバカしくなるぜ。

幽霊さ。

な、バカみたいだろ?

でも、初めは気づかなくてさ。

黒いもやもやは気づくと位置が変わってたりするんだ。

あのころは不思議でしょうがなかったね。

─────そうだな、例えるとすれば家の中に開かずのドアがあるような感じさ。

見えているのに何も出来ないんだ。

もちろん触ろうとはしたよ。

だけど、触れないんだ。

まったく腹が立つ。

四六時中黒いもやもやがいるんだからね。

で、その黒いもやもやがだんだん見えるようになってきたんだ。

そのうち気づいたんだけど、どうもあれは俺の目が悪くなればなるほどクッキリと見えるんだ。

あのころ俺はちょっと変になっていたのかも。

あの黒いもやもやがだんだんと人型になっていくのを毎日楽しみに見てたんだ。

それはある意味、目が見えなくなるのを楽しみに待っていたようなものだろう。

まったく気が狂っているとしか思えないよな。

で、そのうち、それが幽霊ってはっきりわかるようになったんだ。

いや、初めは怖かったさ。

でもさ、そいつが喋りだしたんだよ。

「俺さー、この前仕事でドジっちまってよ!それで金がなくなっちまってさ、自殺したんだ、自殺。あはははは。」

俺は拍子抜けしちゃって。

そいつ死人のクセに生きてる俺より明るいんだよ。

で、どうなったと思う?

・・・・・・・友達になった。

笑っちまうよ。あんなバカ幽霊と友達になっちまったんだからさ。ははは。

ところでさ、知ってたか?

いや、知るわけないよな。

その幽霊が言うにはさ、この世に未練を残して死ぬと、成仏できないでそのへんをさまよっちまうんだって。

なんでって言われてもわかんないけどそうなんだってさ。

でな、そいつがいうには一つだけ成仏する方法があるんだと。

「幽霊が見えるヤツを取り殺す。」

そいつが大真面目な顔でそんなこと言うもんだから笑っちまってさ。

大笑いしたよ。

事故にあってから初めてだよあんなに笑ったのは。

そいつのマジメな顔みたのそれが初めてで最後だったから冗談だとおもったよ。

だけどさ、それマジだったんだよ。

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なんてなアハハハハ。

もしかしてお前ビビったんだろ。

でもな、幽霊なんてほんとバカバカしいよ。

な、おまえもそう思うよな。アハハ



だからさ、お前、俺が成仏するための身代わりに死ねよ。







すると、そこにあった黒いもやもやはだんだん白くなっていき、キレイサッパリ消えてしまいましたとさ。









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